この本はずるい。
読んだ後に絶対にカレーが食べたくなるから。
著名人のエッセイからカレーに関するものを集めたアンソロジーになっています。
池波正太郎
「夏はカレーライスの季節である。」
向田邦子
「私は早く大人になって、水を飲みながらライスカレーを食べたいな、と思ったものだ。」
内館牧子
「そのとき、ふと見ると、若いレスラーが二人、夜の庭にしゃがんでカレーライスを食べている。
見惚れた。」
小津安二郎
「ライス・カレーのおかげで監督になった。」
久住昌之
「朝からカレー。オッケー。昼もカレー? 了解、全然オッケー。」
などなど、33人のエッセイがまとめられています。
ひと通り読んで感じたことは、家庭で作るカレーの思い出が極めて多いこと。そして家のカレーはいつだってスペシャルだということ。思い出の数だけカレーライスがあるのですね。
もうひとつは時代によって「ライスカレー」か「カレーライス」か呼び方が違うということです。近ごろライスカレーという呼び方はなくなりましたね。
インドからイギリス、イギリスから日本へ渡り、日本で独自進化を遂げたカレーと日本人の親和性がすごいですね。阿川弘之のエッセイの中にもあるけれど、カレーの主たるスパイスは、古来から漢方薬として使われてきたもの。ゆえに口にも体にも合うのではないでしょうか。
ターメリック/鬱金(うこん)、クローブ/丁子(ちょうじ)、フェンネル/茴芹(ういきょう)、シナモン/肉桂(にっき)、カルダモン/小荳蒄(しょうづく)、クミン/馬芹(まきん)、キャラウェイ/姫茴香(ひめういきょう)などなど。
そしてエッセイのところどころに佐内正史によるカレー写真が挿入されているのもずるい。
(なぜかほとんどの写真が電球色なのが気になるけど、思い出のカレーということでセピアっぽいようなイメージになっているのかな。)
また紙がターメリック色なのがなんとも(あ、匂いはしませんでした)。
さあ、今日はカレーにしよう。デザートは杏仁豆腐で。